Röntgen レントゲン(独)
概要
①古高独rūna「囁(ササヤ)き、秘密」,古ザクセンrūna「秘密の助言、協議」を基にした愛称男名Ronicに由来。「密ちゃん」の意。
②ゲルマン*raʒinam,*raʒanam「助言、決議」を基にした愛称男名Reincoに由来。「助言ちゃん」の意。
詳細
Heynr. Ronghen al. de Keyserswaerd(1443年Kaiserswert(ノルトライン=ヴェストファーレン州Düsseldorf))1
Adolph Rongen(1626年Beyenburg(ノルトライン=ヴェストファーレン州Wuppertal))2
weyland Engel Rönchen(1715年Dabringhausen(ノルトライン=ヴェストファーレン州Wermelskirchen))3
Carl Roͤndgen(1770年Reinshagen(ノルトライン=ヴェストファーレン州Remscheid))4
Heinrich Roͤntjen(1832年Burscheid(ノルトライン=ヴェストファーレン州))5

レムシャイト(Remscheid)市に最も分布し、この辺りが発祥地。物理学者のヴィルヘルム・コンラート・レントゲン(Wilhelm Conrad Röntgen :1845.3.27 Lennep(ノルトライン=ヴェストファーレン州)~1923.2.10 München(バイエルン州))も同市内レネップ(Lennep)出身。 5代前の父方の先祖はエンゲル(ベルト)・レンヒェン(Engel(berthen) Rönchen)といい、1650~1660年頃、又は1655年頃 ダブリングハウゼン(Dabringhausen)の生まれとも6, 7、1672年レルシャイト(Rölscheid)の生まれとも言われているが8、 1672年2月7日にレルシャイトで洗礼を受けているので3後者が正しいと思われる。彼の姓は他にもレンゲン(Röngen)、 レントゲン(Röntgen)とも綴られた。エンゲルベルトの父はマルティーン・レンゲン(Martin Röngen)といった3。 又、同じ姓のゴトフリート・レントゲン(Gottfried Röntgen:1675/80~1751 Mülheim am Rhein(現ケルン))なる ミュールハイムの家具職人は、姓をRöngen、†Röndgen、†Röhngenとも綴った9。Röhngen姓は現在廃用。 かつてはエルバーフェルト(Elberfeld)にも存した10 。ご覧の通り-t-を持たない形が祖形である。現在も祖形のレンゲン(Röngen:レムシャイトに集住)、ロンゲン(Rongen:独西部 Heinsberg郡やAachen郡に集住)、レンヒェン(Rönchen:レムシャイト東隣のオーバーベルク郡に集住)といった姓が付近に分布している。 私が調べた限りでは、1443年の綴りRonghenまでしか遡れなかった。この形から語源を考えると以下の2説が唱えられる。尚、 ②説を挙げる資料が無いが、音韻的には十分あり得る。

①父称姓。第一要素に古高独rūna「囁(ササヤ)き、秘密」11,古ザクセンrūna「秘密のアドバイス、協議」 11を持つ様々な古いドイツ人男名、例えばRunfrid12、Runger12 、Runheri12、Runuald12等の名の愛称形Ronic(9世紀ロルシュ古写本に用例有り) 13の属格形か、更に指小辞-īnが後続した形に由来。「密ちゃん」みたいな意味の名前。
[Gottschald(1982)p.417, Heintze(1933)p.225]

②父称姓。第一要素にゲルマン*raʒinam,*raʒanam「助言、決議」11を第一要素に持つドイツ人男名、例えばRaganfrid 14、Ragingar14、Raginhari14、Raginold 14等の名の愛称形Reinco(1020年に用例有り)14の属格形か、更に 指小辞-īnが後続した形に由来。「助言ちゃん」みたいな意味の名前。Reinke(n)→Renke(n)→(円唇音化)Rönke(n)と変化したと想定される。
1 Hermann Keussen, Wilhelm Schmitz "Die matrikel der Universität Köln. vol.1 (1389-1466). 1. part.1"(1892)p.355
2 "Geschichte der Stadt Rade vorm Wald im Reg.-Bez. Düsseldorf mit Hinweisung auf die Landesgeschichte."(1864)p.102
3 "Archiv für Sippenforschung und alle verwandten Gebiete. vol.37-38"(1973)p.266
4 "Die Eisen und Stahl-Erzeugung auf Waßerwerken zwischen Lahn und Lippe. vol.1"(1804)p.392
5 Düsseldorf (Regierungsbezirk) "Amtsblatt für den Regierungsbezirk Düsseldorf: 1833."(1833)p.38
6 "Familie Wilhelm C. Röntgen - Geburtshaus Röntgen Stiftung."2016年2月1日閲覧
7 Wilhelm Avenarius "Düsseldorf und Bergisches Land: Landschaft, Geschichte, Volkstum, Kultur, Kunst."(1982)p.137
8 Otto Glasser "Wilhelm Conrad Röntgen und die Geschichte der Röntgenstrahlen."(2013)p.114
9 "Archiv für Sippenforschung und alle verwandten Gebiete. vol.41-42"(1975)p.397
10 15: 『エルバーフェルト家名録』2016年2月1日閲覧
11 http://www.koeblergerhard.de/germ/germ_r.html
12 Förstemann(1966)sp.1063
13 ibid. sp.1062
14 ibid. sp.1011-1026

更新履歴:
2016年2月1日  初稿アップ
PIE語根Rö-nt-ge-n①: 1.*reu-¹「大声で鳴く」; 2.*-no- 形容詞・名詞形成接尾辞; 3.*-ko- 形容詞・名詞形成接尾辞; 4.*-no- 形容詞・名詞形成接尾辞
②: 1.*rek-²「命じる、助言する、決心する」; 2.*-no- 形容詞・名詞形成接尾辞; 3.*-ko- 形容詞・名詞形成接尾辞; 4.*-no- 形容詞・名詞形成接尾辞

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