Perlmutter パールマッター(独系ユダヤ)
概要
後期中高独perlinmuoter,独Perlmutter「真珠層」に由来する、ドイツ系ユダヤ人の姓。
詳細
思いつき姓。2011年ノーベル物理学賞を受賞した米国の宇宙物理学者ソール・パールマッター(Saul Perlmutter)の姓。 彼の父ダニエル(Daniel D. Perlmutter)はペンシルベニア大学の名誉教授を務めた化学者であった。この、父方の家系が何処を発祥としているのかは ネットでも資料が見つからず不明。然し、パールマッターという姓自体はドイツ系ユダヤ人の姓である。後期中高独perlīnmuoter 1, 2,berlinmuter3,përilmuoter2,独Perlmutter 1, 2「真珠層(真珠貝など貝の内側の、真珠光を発する硬質層)(mother-of-pearl, nacre)」に由来する。 螺鈿細工の材料になる。この語は中世ラテン語のmater perlarum「真珠層」の翻訳借用で4、中高独bërle,perle「真珠」 5と中高独muoter「母」6より構成される。逐語訳すると 「真珠の母」の意になる訳で、真珠層から真珠が形成されると考えられたからだろう。 ユダヤ人に姓を持つことを強制させた時に、ユダヤ人が高価で華麗な品物や鉱物の名を姓として選択したケースがあり、この姓もその類型に属す 7
[Gottschald(1982)p.381,Guggenheimer(1992)p.xxvi]
◆後期中高独perlinmuoter「真珠層」←中ラmater perlarum「真珠層」(仏mère-perle,伊madreperla,葡madrepérola)←俗ラ*perla「真珠」←*pernulam (指小形)←ラperna「(腿を含む)脚部、(豚の)腿の肉、ハム」←PIE*persnā「踵(カカト)」(ギptérnē「踵」,古高独fersana「踵」(>独Ferse),サンスクリット prṣṇi-「踵」,アヴェスタpāšna-「踵」,ヒッタイトparšina「腰」)8。露,ベラルーシ pjerlamútr「真珠層」はドイツ語からの借用。
1 Wahrig(1981)sp.2817
2 DWB vol.13 sp.1554
3 Frank Matthias Kammel, Andreas Curtius "Spiegel der Seligkeit."(2000)p.61
4 Drosdowski(1898)p.521-522
5 Lexer vol.1(1872)sp.194
6 Lexer vol.1(1872)sp.2244
7 他には、バーンスタイン(Bernstein:「琥珀」の意)、グリーンスパン(Greenspan:「緑青」の意)、サピア (Sapir:「サファイア」)、ルビンシュタイン(Rubinstein:「ルビー」)等がある。
8 英語語源辞典p.1041、Watkins(2000)p.67、Pokorny(1959)p.823、Buck(1949)p.242

更新履歴:
2011年10月6日  初稿アップ
PIE語根Per-l-mutter: 1.*persnā「踵」; 2.*-lo-指小接尾辞; 3.*mā́tēr「母」

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