Kámov カモフ(露)((露)Ка́мов、(英式転写)Kamov)
概要
「Kamŭ(「シャーマン」の意)の息子」を意味する。
詳細
ニックネーム姓。発音は「カーマフ」が原音に近い。シベリア発祥と考えられている。ヘリコプターの設計で知られる設計技師カモフの祖父はシベリア起源の家系の 出身者であった。駅馬車の宿場駅が存在したイルクーツク(Irkútsk)に暮らしていたらしい。姓の根幹部分はKam-で、ダーリの 辞典ではkamŭ(камъ)「シャーマン、呪い師」、kamlovat'「呪い師をする、シャーマンの儀式を行う」という説明をしている。 即ち、「Kamŭ(「シャーマン」の意)の息子」を意味する姓である。又、Kamovič姓は更に父称接尾辞-ičを後続したもので、「Kámovの 息子」を意味し、祖父がKamŭという名であった事を示す。-ovič語尾の姓はロシアに少なく、ウクライナやベラルーシにはよく 見られるという。

以下のURL先のサイトに、テュルク系民族のkam(кам)と呼ばれるシャーマンの写真(1910年撮影)が見れる(http://tatarkam.livejournal.com/19526.html)。 また、次のURL先のサイトではアルタイ地方のkamというシャーマンの事について詳しく書かれていて、写真も見れる (http://www.beluha.net/2009-03-29-04-24-34/2009-03-29-04-13-00/162-2009-05-01-16-48-05.html)。
[http://slovar.plib.ru]
◆kamŭ「シャーマン」←トルコkam「シャーマン、祈禱師」←古トルコqam(タタール,カラハン,オイラート,ショルqam,ハカス,トゥバxam,カライムqamʒɨ, チュヴァシjomъś, jumъźǝ)。ロシアの言語学者スタロスティンのHP『バベルの塔』内の語源辞典だと、トルコ祖語形*Kiam「シャーマン」を立てるが、 北方アジアの他語族諸言語の語彙と結び付ける為に無理に語形を再建しているきらいが有って、素直には受け入れがたい。 上掲のチュヴァシ語の語形は興味深いが(語頭子音j-が硬口蓋化由来とすれば、トルコ祖語形*Kiamは成り立つ)、自分はトルコ諸語の音韻関係は 全く解らないので、何とも言えない。キルギスkamŭ(камъ)「シャーマン、魔法使い(шаманъ, колдунъ)」1 という語もあるようだ。
1 Budagov vol.2(1871)p.25

執筆記録:
2011年7月20日  初稿アップ
PIE語根Kam-ov:1.テュルク系言語の語根; 2.*-wo- 形容詞形成接尾辞

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