Bakúnin バクーニン(露)((露)Баку́нин)
概要
①露bákat'「会話する、べらべら喋る」の動作主派生名詞から生じた渾名Bakunja「お喋り好き」に由来。
②キリスト教起源のロシア語男子名アバクーン(Abakún)(←(?)ヘブライkhavák「抱擁」)の頭音消失形に由来。
詳細
Ondron Ivanov syn Bakunin (Ондрон Иванов сын Бакунин)(1615~1616年Livenka1)2
Nikifor Bokunin (Никифор Бокунин)(1670年Kazán'(タタールスタン共和国))3

ロシアの思想家、哲学者、革命家ミハイル・アレクサンドロヴィチ・バクーニン(Mixaíl Aleksándrovič Bakúnin(露Михаи́л Алекса́ндрович Баку́нин):1814.5.30 Prjamúxino(トヴェリ州)~1876.7.1 Bern(スイス))の姓。

①ニックネーム姓。露bákat'(ба́кать)「会話する、話し合う、べらべらしゃべる」4の語根に接尾辞-ún-(動詞語根について、 動作主派生名詞を形成する機能が有る)が付随して生じた渾名・個人名Bakun(Бакун)(1354年Nóvgorod)5のja語幹女性名詞に 改変した渾名・個人名Bakunja(Бакуня)5の所属形容詞(物主形容詞)形に由来する。即ち、「お喋りな人の(子)」の意。よく 日本で珍名として取り上げられる露姓バカーチン(Bakátin)もこの動詞語根から別の接尾辞で形成された名を起源に持ち、バクーニン姓と同根である。Bakunjaの個人名 用例は以下の通り。
Bakunja Gološčapov (Бакуня Голощапов)(1579年Súzdal'(ウラジーミル州):農民)5
[Fedosyuk(2004)p.25,Ganžina(2001)p.45,Unbegaun(1972)p.156, Vedina(2008)p.67f.,Gruško et Medvedev(2000)p.41,ONC(2002)p.42,Vasmer(1950-1958) vol.1 p.109]

②父称姓。キリスト教起源のロシア語男子名アヴァクーム(Avvakúm(Авваку́м))6の口語形アバクーム(Abakúm(Абаку́м)) 6、アバクーン(Abakún(Абаку́н))7の頭音消失形による短縮形に 由来する可能性も指摘されている。ロシア語の方言では個人名を独自の方法で短縮したり改変したりする傾向が有るので、十分有り得る説である。 男名アヴァクームは、旧約聖書の『十二小預言書』の八番目の預言書『ハバクク書』(英Book of Habakkuk)の著者である預言者ハバクク(英Habakkuk,ラHabacuc)の ロシア語形で、ヘブライ語のkhavák「抱擁」に由来するとされる(異説あり)。cf.アバクモワ(Abakúmova)
[Fedosyuk(2004)p.25,Ganžina(2001)p.45,Vedina(2008)p.67f.,Gruško et Medvedev(2000)p.41,Vasmer(1950-1958) vol.1 p.109]
1 この地名はロシアに三か所あるが、どれか未確認。
2 M. A. Macuk(М. А. Мацук) "Город ливны и Ливенский уезд в 1615/16 году."(2001)p.127
3 E. A. Švecova(Е. А Швецова) "Крестьянская война под предводительством Степана Разина: сборник документов. vol.1"(1954)p.176
7 Vasmer(1950-1958) vol.1 p.109
5 Tupikov(2005)p.61
6 研究社「露和辞典」p.2725
7 Vedina(2008)p.13

執筆記録:
2014年1月22日  初稿アップ
PIE語根①Bak-ún-in: 1.*baba- 不明瞭な発音を表す擬音語語根; 2.未調査;3.*-no- 形容詞・名詞形成接尾辞
②Bakún-in:1.セム語根; 2.*-no- 形容詞・名詞形成接尾辞

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