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Kayserling、Kaiserling、Keyserling カイザーリング
概要
「屈強な人」、或いは「喧嘩っ早い人」を表す渾名に因む姓。
詳細
Herm. Keserlynch(1398年Soest)1
Cord keserlingk(1400年Quedlinburg)2
Joh.Keserling(1440年Herford市(ドイツ北西部)の市長)3
Hermann Keserlingk(1495年Riga)4

ニックネーム姓。Kaiserlingはノルトライン=ヴェストファーレン州南東の都市ズィーゲン(Siegen)に多く、 Kayserlingはメクレンブルク=フォアポメルン州北東部リューゲン(Rügen)郡、ノルトフォアポメルン(Nordvorpommern)郡に 多く、特に後者にあるプレーロー(Prerow)村に集住。Keyserlingは稀姓でドルトムントに1件存す。独Kaiser「皇帝」とは 語源上無関係。中低独kes(s)erlink,kiserlink「玉砂利、火打石」5,独≪北部方言≫ke(i)serling, kiserling「玉砂利」6に由来する。道端の砂利石の様に「堅固な人物」に与えられたニックネームに 由来する姓。「玉砂利」で「屈強な人」を形容している古い文献の記述もあり、"wy synt gelyket den keserlinck steynen in unsen stryden"「私たちは、私たちの道に転がってる玉砂利(keserlinck)の石のごとくである」というのはその例 7。又「火打石」の意があることから、「喧嘩っ早い人、トラブルメーカー」のような意味合いの 渾名に由来する可能性もある。後に民間語源によって第一要素が独Kaiser「皇帝」とみなされ、全体で「小さな皇帝」を 意味する姓と解釈されたのだろう、Kai-とかKay-という形に変化したものと考えられる。実はキスリング(Kissling)も全く 同じ組成の姓である。
[Gottschald(1982)p.288,Kohlheim(2000)p.,Bahlow(2002)p.264,(1972)p.264]
1 Rothert(1958)p.301
2 Gottfried C. Voigt "Geschichte des Stifts Quedlinburg"vol.2(1787)p.492
3 Bahlow(2002)p.264
4 Bunge et. al.(1900)p.146
5 Lübben(1888)p.172
6 Walde et. al.(1973)p.553
7 Bahlow(1972)p.264

執筆記録:
2011年6月22日  初稿アップ
PIE語根Kayser-l-ing:1.*geis-「玉砂利」;2.*-lo-指小辞;3.*-ko-形容詞形成語尾

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